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 誰もいない海辺に、一人立っていた。膝丈の白いワンピースはなんとなく着慣れたかんじがする。  砂の感触を確かめようと一歩踏み出した時、まだ先だったはずの海水が全身を飲み込んだ。  冷たい。ワンピースが絡みついて重りのようになり、上手く泳げない。もがけばもがくほど、身体が重くなって、沈んでいくことに気付いて、泳ぐのをやめた。  死ぬのだと思ったとき、冷静な自分が不思議だった。けれど、いつの間にか足首に嵌められた頑丈な赤い鎖を見て、当たり前だとも思った。  突き刺さる冷たさが痛いけれど、自分がこのまま冷たい水の底に沈んでいくのは怖くなかった。 『――――それは君が、かねてから望んでいたことだからだ』
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