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高原 実優 27歳。
社会人5年目。
旅行会社勤務。
お客様に合わせて旅行プランを計画し、提案している。
まだまだ未熟ながら職場の人たちにも恵まれて、
なおかつ結構やりがいもある。
我ながらこの仕事でよかったなーと思う。
ただ遅くまで仕事することが多い為、週末にはご褒美がほしいところ。
もちろん今日だって行先はひとつ・・・。
Lanai
そこはあたしにとって至福の時間。
街中の大通りから少し入り組んだ路地の一角にある小さなBar。
板チョコのような古びた木のドアをあけると薄暗い室内にアンティーク調のカウンターとテーブル席が広がってる。
ここでゆっくりとおいしいお酒をたしなむのが幸せだったりする。
「いらっしゃい。今日は遅かったね」
「こんばんは、悠里人(ゆりと)さん。
あー、つかれたーー、いつものおいしいのを作ってもらえます?」
「おいしいの、ね。がんばります」
目を細めて穏やかに笑う。
無駄のない所作でカクテルを作る姿は、思わず目を奪われてしまうくらい艶っぽい。
偶然通りがかりに気になって入ったのが3年前。
それからずっと通っていわゆる常連さんになった。
「そんなに見られると照れるんだけど。
はい、いつものね」
無意識に悠里人さんを眺めていたことに気づき、苦笑いしながら受け取ったグラスホッパーを一口含んだ。
口の中に広がるチョコの甘さの後にすっきりするミントの心地よさ。
はぁ・・・と無意識に幸せな吐息が漏れる。
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