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部屋に戻ってからも数時間、クロからの電話を待ったものの、結局クロからの着信はなかった。 だから仕方なく、翌日に備えてお風呂に入った。 明日はとうとう終業式だ。 イヤでもクラスメートたちと顔を会わせなきゃならない。 自分がこれから置かれるだろう立場を考えるとゾッとした。 あの狭くて広い四角い空間に、たった独りでポツンと座らなきゃならない状況を考えると、逃げ出したくなるようなウンザリ感に襲われた。 だけどそんなあたしの感情に関係なく、明日は必ずやって来る。 どんなに抗ったところで時間は止まる事なく進み、沈んだ夕陽は朝陽となって再び世界を明るく照らす。 あたしの明日も明るいものであって欲しい……あたしの世界も明るく照らして欲しい、なんて。 思いながらの入浴だった。 ムダに長い時間を過ごした。
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