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グワン、グワン…
ズキン、ズキン…
気を抜けば意識を持っていかれそうだ。
───ギリッ、
俺はより一層強く煙草を噛み締めた。
いつもは自分を落ち着けてくれる煙草の煙さえも煩わしかった。
そのため、煙草に火はつけていない。
昼飯の下拵えをしながら、食材の残りの様子を確認する。
─ナミさんが今日中に島に上陸出来るって言ってたよな。
少し心もとない食材を見ながらその言葉を思い出す。
─よし、なら大丈夫だろ。
念のためまだ日持ちしそうな食材を少しだけ残して他は全部倉庫からキッチンに運ぶ。
─すこし、多めに作るか。
頭の中で色々なレシピを考えながら、サンジは料理を開始した。
何時もより、ほんの少しだけ豪華な昼飯を作ると、ルフィはすごく喜んでいた。
「飯だ!肉だ!」
味わっているのか怪しいくらいの早さで食べ物を飲み込んでいたが、旨い旨いと言って食べてくれるのは嬉しかった。
昼飯の片付けも終わった頃、ルフィの大声が響いた。
「しーまーがー、みーえーたーぞー!」
──ベストタイミング。
サンジはニヤリと笑って降板へでた。
空はカラッと晴れていて清々しい。
朝の嫌な気分など、もう気にならなかった。
─まだ少し目眩はあるが、へいきだろ。
その油断が、まさか大変な事態を引き起こすとはサンジは思ってもいなかった。
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