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「…っ」
ぞわり
悪寒を感じたクォーツ。
よく見れば地中からさらにクロコローチは湧き出し、数を増している。
ふと、巨大な影に包まれ空を見上げれば、数種の巨大な龍が白いクロコローチにまとわりつかれ、血を吹き出しながら落下していった。
『次元龍の子、輝龍…災害の象徴、黒龍…天の王者、ハバムート…彼らでも世界を救うに至らぬか。』
『救う?救われるさ!我々が我々を取り込めばな!』
未だ、魔光球を弾く男から、女の声が聞こえた。
「…スルト、先生?」
『そう!僕たちは生きている。彼らの中で新たな世界が生まれるのを待ってるんだ!』
『だから助けてよ。手伝ってよクォーツ!』
『あなたの力があれば、私たちは、また…』
「ヒカル、ウィン、アオイ…」
『騙されてはいけない。あれは虚像。歪みが得た情報を元に演じているだけにすぎん』
「え…」
『なんだ、バレてるんだぁ…あはははは!』
今後はヒカルの声で笑いあげる男
『けど、ベースはこの声の主さ!彼が望んだことだ!愛を欲するあまり、妬み、憎しみ、己を食い合う!なんて命は愚かなんだ!』
「なにを…」
『彼は姫よ、君を愛したかった!欲しかった!だが君はもう一人を選んだ!だから彼は壊れた!君との愛の結晶は一生物にはならない。そう悟ったぁぁぁ!だから世界を恨んだ。我々の寄り代にはぴったりだったんだよぉぉぉ!』
今度はオーディンの声で叫ぶ男
『…そうか。我々でない我々はオーディンの中で長年に渡り存在していた歪み。壊れず、消えず、存在してしまった。古(いにしえ)の歪みか』
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