プロローグ

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獣人はエルフは弱いと蔑み、人間はエルフは賢く気高いものだと思っていた。エルフは気難しい種族であるが戦いは好まないため、わが身に火の粉がふりかからないかぎり獣人にも人間にも攻撃どころか接触すらも避けているのだった。 獣人、人間、エルフが仲良く暮らす世ことを望むものなどいないこの世界では、互いに干渉しあわないのが暗黙の了解である。だが、それにも関わらず、もしもすべての頂点に立ちたいと野望を持つものが現れた場合はいつ戦争が起きてもおかしくないほど一触即発の状態でもあった。 だが、獣人の王も人間の王も、戦争は愚かな争いだと知っているため、互いの種族が互いの領域をおかさないように常に見張りを立て領域内の見回りをかかさずにいたのだった。 そして、世界は大きく三つの領域に分かれることとなる。 山や森を中心とする獣人の国。 荒野や草原を中心とする人間の国。 大きなガジュールの木を中心に、その一帯の深い森に結界を張っているエルフの国。 他の種族も存在して小さな国を持ってはいるが、この三つの国はガルバディアで有力な国になっていた。 この三つの種族は一目置かれ、他の種族は彼らの領域を荒らさずに国を作り生活している。だが、獣人も人間もその小さな国の者たちには脅威を感じてないためか、たとえ領域に入ろうともきちんと許可を取るのであれば容易に領域に入ることを許可するのだった。 ただ、エルフだけは、他の種族が結界内に侵入することを許さなかった。 ゆえに、他の小さな種族にとっては、獣人も人間もそれほど危険な種族ではないと判断しているが、エルフの国だけはどの種族も近づかないようにしているのだった。
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