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やっぱり…というか確実に、絶対に飲み過ぎた。
大学生になったからってお酒強くなるもんじゃないもんだね。
だって私の部屋に男の人がいるように見えるよ。
「え…俺に言ってる?」
目を閉じてこめかみをグリグリしてる私の耳に届いたのは、ちょっと驚いたような低く優しい声。
うん…男だね。
頭をはっきりさせようと目をギュッとつむって勢いよく開ける。
薄い水色の壁紙に、ほんのりピンク色のカーテン。クローゼットは開けっ放しで、小さな脚の低い机の上にはアクセサリーが散乱。
本棚には買ったばかりの分厚い本。
そして、悩んで悩んで買ったお気に入りのベッドカバーがかかった私のベッド。
酔っ払ってるから間違えて知らない部屋に上がり込んじゃったーなんて話じゃない。
鍵も使えたし。
朝出てきたまんま。
うん、間違いなくここは私の部屋。
なのに、ベッドの上にくつろいだように膝をたてて壁にもたれかかる茶髪の男の人がいる。
フワフワした茶髪はやわらかそうで、今日の新歓でよく見たワックスでばっちり固められた髪型なんかと全然違う。
スッと通った鼻筋に、ちょっと薄い唇。
パッチリとした二重の目は驚きで見開かれてる。
こーゆうのがイケメンってゆうのかなぁ…
「おーい?」
困ったように手をひらひらさせてる見知らぬ訪問者をジトッと見る。
…なんか見たことある気がする。
今日の新歓にいたっけ?
もしかしたら先輩の誰か?
いやいやいや…なんで部屋の住人より先に帰ってんのって話だもんね。
まず、誰も私の家を知らないはず。
眉を下げてヘラッと笑った顔を見て、ばちっとリンクした。
「…あ。」
思い出した。
…このひと…
「…ストーカーさんですか??」
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