第5節 トライアウト(午前)

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「どこのチームにいたの?」 「レディング」 「へぇ。プレストンのライバルのひとつだ。じゃあ、おじさんは、チャンピオンシップでプロをやってたんだね。名前はなんていうの?」 「ボボ。ボボ・ガブリエルだ。ただ、ワタシはおじさんじゃない。まだ二十五歳だ」 「えっ……ふけてんね」  朝陽は一瞬、あっけにとられたような表情を作り、それから笑う。 「お前は?」 「朝陽・キャンベル。十八歳。見た目通りってところ?」 「もっと若く見えるぞ。まるで少年だ」 「東洋人の血が半分入ってるから、こっちだと若く見られる」 「東洋人? 半分?」 「ハーフなんだ」 「ハーフ?」 「そ。イギリス人と日本人のハーフ。だから東洋の血が半分入っている。東洋人の顔は、ヨーロッパでは実年齢以上に若く見られるからさ」 「まるで子供だぞ」  そう言って、ボボは笑顔になる。  二人のフランス語でのやり取りを、他のテスト生たちが不思議そうに見ている。  ボボは大分リラックスしてきたようだった。それほど言葉の問題が引っ掛かっていたのかもしれない。
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