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「どこのチームにいたの?」
「レディング」
「へぇ。プレストンのライバルのひとつだ。じゃあ、おじさんは、チャンピオンシップでプロをやってたんだね。名前はなんていうの?」
「ボボ。ボボ・ガブリエルだ。ただ、ワタシはおじさんじゃない。まだ二十五歳だ」
「えっ……ふけてんね」
朝陽は一瞬、あっけにとられたような表情を作り、それから笑う。
「お前は?」
「朝陽・キャンベル。十八歳。見た目通りってところ?」
「もっと若く見えるぞ。まるで少年だ」
「東洋人の血が半分入ってるから、こっちだと若く見られる」
「東洋人? 半分?」
「ハーフなんだ」
「ハーフ?」
「そ。イギリス人と日本人のハーフ。だから東洋の血が半分入っている。東洋人の顔は、ヨーロッパでは実年齢以上に若く見られるからさ」
「まるで子供だぞ」
そう言って、ボボは笑顔になる。
二人のフランス語でのやり取りを、他のテスト生たちが不思議そうに見ている。
ボボは大分リラックスしてきたようだった。それほど言葉の問題が引っ掛かっていたのかもしれない。
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