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「次はどんなテストだと思う?」
朝陽が言う。
「さあ、どうだろうな。ここまではよくあるフィジカルのテストだったが……」
「君たちはフランスから来たのか?」
ふいにフランス語で話しかけられ、朝陽とボボは顔を上げる。
そこには、スポーツドリンクを手に持った背の高い男が立っていた。
褐色の肌に、精悍な瞳で射るような視線を向けてきている。短い髪は銀色に染められ、日差しを浴びて反射している。
「違うよ」朝陽が言う。「ええと……」
「トトだ」
トトと名乗った褐色の男は、そう言うと朝陽に手を差し出してくる。
それが独特の文化によるものなのか、ただ単に礼儀正しい人物だからなのか一瞬よくわからなかったが、朝陽はすぐに同じように手を差し出し握手をする。
「朝陽キャンベルです。よろしく」
「トト・タムードだ。祖国では『疾風の銀狼』とも呼ばれている」
「銀狼?」
「自分で言うか、普通」
ボボがそう言う。
「こちらはボボ」
朝陽がボボを紹介する。ボボも礼儀正しく握手をし、「ボボ・ガブリエルだ」と挨拶する。
「チームでは『アルジェの怪人』と呼ばれている」
「ボボも自分で言ってんじゃんか」
朝陽が言うと、ボボはおかしそうに笑う。「朝陽にはそういう異名はないのか?」
「ないよ。これから言われるかもしれないけど」
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