第二十二章 壊れてゆく君を抱いて

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 いつものように玄関先まで見送りに来た雪から目を逸らすと、羽琉は言いづらそうに言葉を口にする。 「じゃあ……いってくる」 「うん、いってらっしゃい」 微笑みながらそう言った雪に一瞬、目を向けると羽琉は再び口を開いた。 「今日、病院だよな?」 「うん。先生との約束だから」 変わらぬ口調でそう言った雪に戸惑いながら言葉を続ける。 「……もし、何かあったら……」 「分かってる。真っ先に羽琉に知らせる」  心配そうな顔を向けた羽琉の言葉を遮るように、雪は笑顔のまま言葉を口にした。 「……じゃあ」
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