第二十二章 壊れてゆく君を抱いて

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「……知り合いの……女性が……その……」 「うん」 「彼氏が……自分に反応しないって、病気なのかなって……」 「反応しない?」 首を傾げて聞き返してきた桐島に、怒鳴ってやりたい気分になった。 それぐらい医者なら察しろと。 だが、それは叶わぬことだと分かっているから雪は顔を引きつらせると言いづらそうに言葉を口にする。 「つまり……”勃たない”ってこと」 「あぁ」  雪の一言で桐島はあっさり状況を把握すると考え込むように眉間に皺を寄せた。 「う~ん、そのときの状況にもよるけど……どんな状況だったのかな?」  まるで自分のことのように聞いてくる桐島に、こんなときだけ勘が鋭くなるのかと雪は顔を強ばらせる。 「どんなって……」  言葉を詰まらせた雪に、桐島はすべてを理解すると、真実について問いただすことはせずに雪が作り上げた”知り合いの女性”を強調した。 「”知り合いの女性”から詳しく聞いてないのかい?」
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