第二十二章 壊れてゆく君を抱いて

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 桐島は羽琉を診察室に通すなり勢いよくドアを閉めると羽琉へと振り返る。 「先生」 「もう、限界ですっ」 「…………」 口を噤んでしまった羽琉に、桐島は訴えるように視線を向ける。 「来栖さん、もう全て話しましょう? 彼にも弟さんやお友達にもっ」 「先生……」 「今日検査してみて、やっぱりあなたの計画は無謀だと思いました。患者本人に真実を伝えないまま、このまま……知らん顔するなんて」  頭を掻きむしり顔を歪ませる桐島に、羽琉は眉を潜めると静かに問いかける。 「……そんなに悪いんですか?」  羽琉の言葉に桐島は目を見開くと、切羽詰まったように一気に言葉を捲し立てた。 「悪いもなにも、病はこれからも進行し続けます。そうなったら症状だって薬だけで抑えるのは限界がある。現にすでに身体に異常をきたしてるっ」
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