第二十二章 壊れてゆく君を抱いて

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 本当は退院など許可したくはなかった。 病は治せないにせよ医療設備の整った病院であれば、雪の身体に異変があったときは直ぐに自分が対処する事が出来る。 だが、羽琉はそれを望まなかった。 それに羽琉だけの要望ではない。 元々、病院嫌いの雪も一刻も早く自分の家に戻ることを希望していたということもあり、これ以上、雪を引き止める理由が見つからなかった。 雪は自分の身体の麻痺は後遺症だと思っているのだから。 自宅療養を選んだ患者に、これ以上自分から何か意見する事は出来ないと桐島は仕方なく身を引いた。 今度、雪が入院するときは自分が全力を尽くすときだと心に決めてーーーー。
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