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でも、この計画はただ企てただけで終わった。
なぜなら、父親が家の完成祝いをくれると言うから……。
久しぶりに帰った実家。
母は1年前に亡くなった。
その日、以来だった。
あれから、狂ったように泣き叫び、最後は自ら命を絶った母。
理由を知れば知るほど、大人になればなるほど、彼女が可哀相な女に見えた。
「久しぶりだな」
「ええ……」
「ついに、完成したらしいな」
「はい」
そう……僕は……。
「なら、約束だ……」
待っていた。
「相倉を海外に行かせる。娘を、お前が出来る限り好きにしていい」
この瞬間を。
「ありがとう、ございます」
教えられたのは、彼女が来月から住むと言われたアパート。
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