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「あれ、三島じゃん。どうしたの?女の子なんか連れて」
適当に祭りをまわっていると三島くんが声をかけられる。
振り返れば赤髪の女の人、見るからに不良の男を数人連れていた。
不良といっても三島くんも似たようなものだけど。
「飛呂の被害者の会っすよ」
「あー、なるほどね。だから誘ってもこなかったんだ」
元生徒会長の桜木愛美がそっかそっかと笑う。
白浜高校の生徒の憧れでもあり、暴走族の元総長。
ということは三島くんも暴走族関連の人なんだろう。
「さっきアキくん達に会ったよ」
「じゃあ、向こうにはいかねぇわ。どうせ女連れだろ?」
またねーと手を振りながら去っていく桜木愛美。
彼女もまた南波遥の影響を受けた人物の一人のように思う。
以前のような気負った感じはなく自由を手に入れた鳥のよう。
「エイルちゃん!」
サユキに呼ばれた気がして辺りを見渡す。
人ごみに目を凝らすが彼女の姿はなく、空耳かと諦めようとしたとき肩をトントンと叩かれる。
三島くんの指さす先、たこやきの屋台から嬉しそうに存在をアピールするサユキの姿があった。
あー、なんか恥ずかしいのだけど。
というか、こんなところで何しているんだ。
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