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「…アイツ、元気にやってんのか?」
やっぱり知らないんだ…ね。
あまり言いたくないのだけど、嫌でも耳に入ってくるだろうし。
「…うん、如月悠斗と付き合ってるよ」
「…そうか。元気にやってんならそれでいい」
ホントにそれでいいの?なんて聞けなかった。
複雑そうな顔をみれば答えなんて聞かなくても分かる。
飛呂が何を思って身を引いたのかは知らないけど、これがその結果なんだ。
だけど…
「腐れ縁は一生だからね」
「は?いきなり何言ってんだよ」
何かに押しつぶされそうになった時、今度は私が力になるって意味。
借りはばっちり返すよ、飛呂には本当に感謝してるから。
「そろそろ帰るね」
病気になってから家族がやけに心配性だから日が沈む前に帰らないと。
小学生みたいだけど今はそれでいいんだ。
おかえりって声が聞けるのが嬉しいから。
「悪いな、引きとめちまって」
「ううん、私も久しぶりに楽しかったかな」
こんなに気を使わないで話したのは久しぶりだった。
クラスではいつもぎこちなくなってしまうし。
一緒に卒業したかったね、なんて言葉は飲み込んだ。
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