21人が本棚に入れています
本棚に追加
飛呂と出会った翌日。
登校中、なんとなく視線を感じて振り返るが誰もいない。
こんな朝っぱらからストーカーなんて変態はいないだろうし。
「わ、わぁー!」
思い切って角で待ち伏せしてみると見慣れない女子生徒。
真っ黒で長い髪は二つに束ねられ、私より少し背が高くスタイルがいい。
「…何か用だった?」
人の顔を見るなり大声で叫ぶなんて失礼な奴。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
ものすごい勢いでブンブン頭を下げられる。
…なんか私、いじめてるみたいじゃない?
幸い、辺りに人はいないみたいだけど良い気はしない。
「それで何?」
頭を下げるのをやめた女子生徒が泣きそうな目で私を見てくる。
ちょ、そんなに言い方怖かったかな。
よく無愛想だとか、近寄るなオーラ全開だねとは言われるけどさ。
「ま、迷子になっちゃったんですー!!」
「は?」
急に抱きつかれて大泣きされる。
無理やり引き離すこともできず、とりあえず背中をさすってやった。
しばらくすると落ち着いたようなので詳しく話を聞いてみると、どうやら白浜高校への転校生らしい。
初登校ということではりきっていたのだが(余計な説明が多かったが要約するとこんなもの)、はりきりすぎて迷子になってしまったらしい。
それで同じ制服を着た私をこっそりつけているとバレて、怒られると思ったらそうでもなくて安心して泣いてしまった。
ため息をつきたいのを我慢して一緒に学校へ行くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!