愛しの君…

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買ってきた食べ物を、半分以上、二人のお腹に納めて、改めて出発した。 肩の力が抜けたのかな…その後の時間は、楽しかった。 奏多先輩が、全国大会に出たときの話とか、再会した日に、一緒にいた哲哉さんと、初めて出会ったときのこととか、話してくれた。 大学のオケのメンバーで、軽井沢に合宿に行った話なんて、すごく面白かった。 「…ところでさ、全国大会も、終わったし、約束果たさなきゃな。 オーディション通った時に、お祝いあげるって言ったら、君は、全国大会終わったらでいいって、そう言ってただろう? お祝いは、何がいい? なんでも言ってくれていいよ。…ただし、俺が、不可能なことは、言わないでくれよ。 例えば…アメリカ大統領になるとかさ。」 笑いながら、奏多先輩は、聞いてきた。 本当に、明るくて軽い感じで、言ったのよ。 まるで、可愛い妹との約束を守る、優しいお兄ちゃんのような顔で…。 奏多先輩と光輝お兄ちゃんが、被って見えた…。 私が、求めているのは、そんなあなたじゃないのに…。 「…約束…叶えてくれるんですか? なら…私と、お付き合いしてください!! 彼女にしてください!! お祝いの品なんて、なんにもいりません…。 私だけの奏多先輩に、なってください!!」 そこまで言うのに、どれだけ、勇気がいったか…どれくらい、ドキドキしたか…。 私は、真っ赤になった顔を、しばらくあげることが、出来なかった…。 奏多先輩は、きっと困ってる…先輩みたいな素敵な人に、彼女がいないわけがない…。 何も、言わない先輩をそっと横目で見てみた。 私が、見たことない表情で、真っ直ぐ前だけを見て、運転していた…。
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