381人が本棚に入れています
本棚に追加
買ってきた食べ物を、半分以上、二人のお腹に納めて、改めて出発した。
肩の力が抜けたのかな…その後の時間は、楽しかった。
奏多先輩が、全国大会に出たときの話とか、再会した日に、一緒にいた哲哉さんと、初めて出会ったときのこととか、話してくれた。
大学のオケのメンバーで、軽井沢に合宿に行った話なんて、すごく面白かった。
「…ところでさ、全国大会も、終わったし、約束果たさなきゃな。
オーディション通った時に、お祝いあげるって言ったら、君は、全国大会終わったらでいいって、そう言ってただろう?
お祝いは、何がいい?
なんでも言ってくれていいよ。…ただし、俺が、不可能なことは、言わないでくれよ。
例えば…アメリカ大統領になるとかさ。」
笑いながら、奏多先輩は、聞いてきた。
本当に、明るくて軽い感じで、言ったのよ。
まるで、可愛い妹との約束を守る、優しいお兄ちゃんのような顔で…。
奏多先輩と光輝お兄ちゃんが、被って見えた…。
私が、求めているのは、そんなあなたじゃないのに…。
「…約束…叶えてくれるんですか?
なら…私と、お付き合いしてください!!
彼女にしてください!!
お祝いの品なんて、なんにもいりません…。
私だけの奏多先輩に、なってください!!」
そこまで言うのに、どれだけ、勇気がいったか…どれくらい、ドキドキしたか…。
私は、真っ赤になった顔を、しばらくあげることが、出来なかった…。
奏多先輩は、きっと困ってる…先輩みたいな素敵な人に、彼女がいないわけがない…。
何も、言わない先輩をそっと横目で見てみた。
私が、見たことない表情で、真っ直ぐ前だけを見て、運転していた…。
最初のコメントを投稿しよう!