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間もなく夏休みも終わろうかという週末の土曜日、大きな花火大会が、開かれる。
家のベランダからは、それがよく見えるのだ。
大人も子供も、この花火で、浮かれた夏に終止符を打つのが、ここ数年の流れだった。
「…千秋、何を、優雅に、ひとりでお茶してるわけ?」
「一応、誘ったわよ、私は、彰を…。『3時のティータイム、一緒に、どう?』って、ちゃんとね。」
「それどころじゃないだろ…なんで、俺が、ひとりで、ガキ共のために、頑張ってる訳だ?
千秋も手伝えよ!」
「手伝うわよ、これ飲んだらね♪
あっ、それと、一言。
仕事量を増やしたのは、彰自身なんだからね。」
「わかってるよ!」
本当に、彰は、素直じゃないんだから…。
さて、子供達のために、ひと働きしますか。
飲んでいたレモネードのグラスを、流しに持っていき片付けると、千秋は、彰に聞いた。
「何の手伝いを、すればいいのかしら?」
「悪いけど、そこの野菜の下ごしらえ頼めるかな?」
「了解♪」
千秋は、鼻歌混じりに、バーベキュー用に、野菜をカットしていく。
ベランダには、既に、バーベキュー用のコンロが用意されていた。
「あの子達、みんなで何人かしら?…ひい、ふう、みい…。」
「全部で11人だよ。」
「あら、結構な人数ね…じゃあ、気合い入れますか。」
「当たり前だ。気合い入れてくれなきゃ、困るんだ…俺が。」
「じゃあ、お願い♪」
「はぁ…進歩しろよ、ちょっとは…。
ちょっと、待てよ。手が、汚れてるから。」
「うん、待つよ♪」
ワクワクしながら待つ、この瞬間が好きなの♪
「お待たせ…。」
文句いいながらも、絶対やってくれるんだ、私だけのために…。
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