真夏の台風

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ギュって、抱きしめられるの大好き…。 そのあとしてくれる、優しいキスも、大好き…。 彰を、独り占めできる瞬間だから。 「…続きは、またな。」 わかっているわよ…昔みたいに、いつでも、どこでもって、訳にいかないことぐらい…。 だから、いいじゃない。今なら、誰もいないんだから…。 ちょっと拗ねた顔をしてみるが、彰には、無視された。 わかってるわよ、やること、やれって言うんでしょ…はいはい…やりますよ。 大人しく野菜と格闘を始めた私を、クスクス笑いながら、見てるんだから…意地が悪いったらありゃしない。 でもね、こんな時間は、いつまでも続いて欲しい…。 こうやって、二人ならんで、食事の用意を出来る幸せは、後、何年ぐらいあるのかなぁ…。 なんて、思い出すと…ちょっと悲しい…。 「千秋…なに、百面相してんだよ。 しわしわババアになるぞ、そんな顔してたら。」 「もう!バカっ!…なに言うのよ! しわしわなんかに、まだまだ、なりませんよぅ~だ。」 わしゃわしゃと、私の髪を手荒に撫で回すと、 「…ほら、続き。」 と、催促された。 みんな、見透かされてるのよね…彰には、私の気持ち…。
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