381人が本棚に入れています
本棚に追加
帰って来た彩華は、なんだか、ご機嫌斜めだ。
「おかえり。彩華。」
奏多を連れて入ってきた彩華は、奏多を置き去りにして、なにやら、ぶつくさ言っている。
「どうしたんだよ、彩華…奏多連れてきたんだろ?
なんで、そんなに、プンプンしてるんだ?」
今まで、こらえていた何かを、思いきり吐き出すかのように、堰を切って、話し出す。
「聞いてよ、お兄ちゃん!…私、断言する!絶対に、大人になっても、あんな女にならないわ!」
「あんな女って言われても…俺わかんないよ。会ってない人間のことなんて…。」
困惑する俺に、奏多が、すまなさそうに、頭を下げた。
「ごめんね、みんな楽しんでるところに、遅れて来た上に、彩華の機嫌戻せなくて…。」
「なんで、奏多先輩が、謝るのよ!
悪いのは、酷いのは、あの女じゃない!
奏多先輩が、反論出来ないのをいいことに、あんなに、上からもの言わなくてもいいじゃない!」
どうやら、彩華が、憤慨している相手…どうやら、女性らしいんだが、そいつが、奏多を、見下した態度をしたらしい。
「…あの女、全然、わかってない。
事故のせいで、奏多先輩が、どれだけ、苦しい思いしたのか…。
どれだけ、辛いリハビリしたのか…。
側で支えることも出来ないようなあんな女、奏多先輩、別れて、正解だよ、絶対!!」
一方的に喚いている彩華に、みんなポカンとしている。
「奏多…これって、もしかして、彩華が、元カノに会いましたパターン?」
「…うん…そうなんだ。
彩華には、彼女と別れた理由、話してあったし…それに、彩華が、怒るの無理ないんだ…。
彼女…彩華を、馬鹿にしたから…。」
最初のコメントを投稿しよう!