真夏の台風

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「わかった…話聞いてやるから、ちょっと落ち着け、彩華。」 とりあえず、奏多と彩華をリビングのソファに、座らせた。 「悪い、後で、みんなに紹介するわ。 夏樹…そっち、有希と仕切っといて。 陽菜…二人ともお腹空いてると思うから、なんか、見繕って、持ってきてよ。」 パパッと、指示を出して、光輝は、二人の話を聞き始めた。 「…彩華が、俺を誘いに来て、駅に向かう途中で、声を掛けてきたんです…彼女から。 俺は、別に、いいんです…なんて言われても…彼女が言うように…情けない男だから…。 フルート吹く以外、特技もなんもないのに、去年の春…大怪我して、手術が成功しても、右手が100%もとに戻る確率は、すごく低いって言われて…俺は、逃げ出したんですから…。 彼女に、見切りつけられたって、意気地無しと罵られても…仕方ないんです。」 「だからって、言われっぱなしは、ないわよ! 逃げ出したかもしれないけど、奏多先輩は、ちゃんと、手術して、リハビリして、今は、不自由なく、手を使えるじゃない! …フルートだって、前みたいは、無理かもしれないけど、絶対、もう一度、吹けるようになるよ! 私は、先輩を信じてるもの!」 「ありがとう…彩華。」 「まあ、そこまでは、わかったけど…、彩華を馬鹿にしたってのは、どういうこと?」 「彼女…最初から最後まで、彩華の存在無視してて、最後の最後になって、思い出したかのように、『あら、いつからいたの?このガキ?』って、言い出して…」 「私が、睨み返したら、なんて言ったと思う? 『本当のことを言われて、怒ってるの?…やっぱり、ガキねぇ。』 って、上から下まで、見回して、 『奏多ったら、趣味悪いわね。年下の若い女子高生なら、なんでもいいんじゃないの?』 なんて、言ったのよ! 頭に来るわよ!」
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