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「そうか…ケジメ着けたんだな、奏多。」
「何か、聞いていたのか、光輝は。」
「うん、ちょっとね。
奏多、前に、願掛けしてたんだよな…フルート、また吹けますようにって…。
ここのお披露目でさ、彩華と二人で、フルート披露してただろ。
だから、もう、満願成就したんだって、俺、勝手に思ってたんだ。
それを、この間、奏多に、言ったらさ、まだ、足りないって…。
もう一度、広い舞台で、小松崎奏多は、ここにいるって、示さなきゃいけないんだって…。
そのために、6月のコンクールに、出るんだとは、言ってたけどさ…、まさか、そんな規模の大きなコンクールだとは、全然、思ってなかったよ。」
「そうか、奏多君が、そんなことを…。
彼はね、挫折と絶望を経験したことで、精神的に強くなっているし、今までの技術力の上に、改めて身に付けた技術が、合わさって、たぶん、前より、腕が上がってるんじゃないかな。
以前の彼の演奏を知らない俺でも、彼の放つオーラの凄さは、感じたよ。
彩華なんてな、演奏聞いて、泣いていたからな。」
「…そんなに、凄かったの?」
「ああ、凄かったよ。」
「全国大会、みんなで、応援に行けばいいんじゃないの。
そうしたら、私も、光輝も聞けるでしょ。陽菜ちゃんには、いい胎教になるし。
うん、いいアイデア♪」
千秋は、笑ってそう言った。
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