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「…はぁ…俺は、何をやってんだよ…。」
運転席の倒したシートに体を預けたまま、俺は、自分の仕出かしたことの重さに、頭を抱えていた…。
意識を手離したまま、眠っている彩華を見る度に、悔やんでしまう…。
なんで、今日に限って、理性が、弾け飛んじまうんだよ…まったく…馬鹿としか、言いようないよ…。
「…んんっ…ここは…えっと…私…」
目が覚めた彩華は、ぼおっとしていて、思考がまとまってないみたいだ。
「彩華。」
俺の声に、反応する。
「奏多…。」
俺の顔を見るなり、ぱあっと、頬を紅く染めて、少しモジモジしてから、
「私…奏多と、ひとつになれたんだよね…。」
すごく自信なさげな、小さな声で、俺に聞いたんだ。
被さるような体勢になっちゃったけど、俺は、ギュッって、抱き締めて、問いに答えた。
「うん…そうだよ。俺達は、ひとつになった。
でも、ごめん。綺麗な思い出を作ってあげられなくて…ここで、こんな風にしようなんて、俺、思ってなかったのに…。」
「どうして、謝るの奏多は?…私は、すごく嬉しかったのに。」
「でも…彩華は、初めてだったのに、こんな狭っ苦しい車の助手席で…。
こんなの綺麗な思い出には、ならないよ…。」
俺の小さな後悔が、声を震わせていた。
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