薔薇の約束

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「で、パパさんの用事なんだったのよ、彩華?」 「うん…パパとフルートのコンクールを、見てきたの。 奏多がね、コンクールに出てたんだ。」 「小松崎先輩、出たの!?本当に?」 「そうなのよ、有紗。酷いんだよ、奏多…私に、内緒でエントリーしてたんだから。」 「でも、その割には、嬉しそうに話すじゃない。」 「だって、凄く良い演奏だったのよ!!鳥肌ものの凄いやつ!!」 「…鳥肌って、そんなに凄かったの?」 「何度か、奏多のフルート聞いてるけど、あんなの初めてだった。 奏多が、全身全霊掛けて、演奏してるって、伝わってきた。 奏多、事故で、右手傷付いて、もう二度とフルートは、吹けないかもしれないって、お医者さんに、言われてたんだよ。 絶望の淵から、血の滲むような思いをしながら、3年間、頑張ってきたんだもん。 あれは、自分は、ここにいるって訴えてる、奏多の叫びだよ…。だから、泣いちゃった、私。」 「奏多さん、優勝したの?」 「蘭、音楽のコンクールに“優勝”って言葉はないよ。代わりに“金賞”ってのがある。」 「そうなんだ。…勉強不足だね、私。」 「そんなの普通は、知らないよ。気にしない、蘭。」 「うん。」 「ところで、彩華。小松崎先輩は、勿論、金賞取ったんだよね?」 「うん、金賞だったから、全国大会に出られるって。」 「よかったね、彩華。」 「うん♪」 飛び切りの笑顔で、私は、二人に答えた。
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