薔薇の約束・Ⅱ

2/21
前へ
/806ページ
次へ
コホコホ… 夏風邪を、ひいたらしくて、小さな咳が、何度も続く。 参ったなぁ…締め切り、間近なのに…。 熱でも出たら、どうしょうか。嫌だって言っても、彰に、ベッドへ連行されちゃうわ。 それまでに、1頁でも多く、書いておかなくちゃ。 カチャカチャカチャ… 千秋は、自室の執筆スペースで、必死に、キーボードを、打っていた。 身重の陽菜は、悪阻の酷い吐き気に、まだ襲われることもあったが、少しずつ体調が、落ち着いてきたらしくて、ここのところ、前のように、家事をやってくれていた。 そのおかげで、千秋は、こうやって、本来の仕事を出来るのだけれど、この数日、体が重いし、咳も、段々酷くなっていた。 彰に、ストップをかけられたら、体調が戻るまで、一切、仕事はさせてもらえない。それは、困る…。 カチャカチャカチャ… カチャカチャカチャ… カチャ、カ… 一瞬、目の前が、真っ暗になる。 「あっ…」 私は、そのまま、机の上に、崩れ落ちた…。
/806ページ

最初のコメントを投稿しよう!

379人が本棚に入れています
本棚に追加