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予想通り、熱が出てきたみたいで、ベッドに横たわる私のおでこには、冷たいタオルが、乗せられていた。
「…彰ぁ…ごめん…。」
「千秋が無理して、ぶっ倒れるのは、毎度のことだから、気にはしてないけどな…。
陽菜のことだってあるんだから、あっちもこっちも、面倒は、見切れないからな。」
「…わかってるよ。
彰…仕事、穴開けるわけにいかないから、書けたとこまででも、出して。
今、書いてるの山河の分だから、谷口君に、頼んで…正岡君じゃ、まだ、対処できないよ…。」
「わかった、谷口には、連絡しとく。
書きかけの文、俺が、切っていいのか?」
たぶん、私の書いていた文章は、意識のなくなった辺りで、途切れてるはず。
変なところで、切れてしまっているから、切りの良いところで、次回に続くにしなくては、いけない。
「彰なら、上手く出来るでしょ。もう一人の吉水千秋なんだから。」
「もう一人いたのか?吉水千秋は…。俺は、初めて知ったがな。」
わかっていて、彰は、そんなことを言うんだから…。
でも、茶化してくれた分、ちょっと、気持ちに余裕が出た。
こう言うのは、上手いんだよね。
「そうだよ。知らなかったの…吉水千秋のマネージメントやってるのに、知らないんて、ダメだなぁ。」
「そんなふざけたことを、言ってられるなら、すぐ治るな。
必要なことは、やっといてやるから、とにかく、熱が下がるまでは、大人しくしとけよ。
切った文章は、後で、プリントアウトしてやるから、まずいとこは、言ってくれ。速攻で、直し入れるから。」
「彰なら、完璧にやってくれるんだから、全部、任せたよ。」
私は、そう言って、目を閉じた。
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