薔薇の約束・Ⅱ

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「仕事絡みで、俺を呼ぶなんて、久しぶりのことじゃねぇかよ。」 「千秋のご指名だ。ありがたく思えよ。」 「はいはい。で、千秋ちゃんの具合は、どうなんだ?」 「軽い肺炎だって…最近、咳き込んでるなとは、思ってたんだけど、そこまで、酷いと思ってなくてな。 今は、熱もだいぶ下がってるから、まあ、入院しなくていいみたいだ。 さすがに、言い付け守って大人しくしてるよ。」 「たまには、大人しくしてもらわないと、困るだろ、速水。なんせ、千秋ちゃん、走り出したら、止まんないからなぁ。」 「横山も、そうだろうが…大概だぞ。」 「昴か…確かに、千秋ちゃんの崇拝者だしな。 変なところが、激似だよ。」 「何、納得してんだよ。仕事するぞ、仕事。」 「はいはい。で、どうするって?」 「お前のところの正岡には、期待してるし、まあ、割りとよくやってると思うが、まだまだ、力不足は否めない。 千秋も、頼りにしてない訳じゃないんだが、なんせ、初めてだろう、こう言うアクシデントは。 それでだ、指導がてら、こう言う場合の原稿のチェックの仕方とか、版元への依頼の仕方。お詫び文の書き方とか、教えてやってくれないか。」 「進藤じゃダメなのか?あいつなら、それくらい出来るぞ。一応、正岡の指導係だからな。」 「千秋は、お前に、やってくれって、頼んでるんだ。意味わかるだろ、それくらい。 それに、進藤は、今、お前の代わりに、文芸部のまとめ役やってんだろ。正岡だけに、掛かりっきりって訳にいかないのは、仕事振ってるお前が、一番、わかってんだろ?…進藤に、余分な仕事、増やしてやるなよな。」
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