薔薇の約束・Ⅱ

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「香織さん、最近は、兄さんと、仲良くやってるの?」 「まあ、それなりに、仲良くやってるわよ。 匠は、匠なりに、私を愛してくれてるって、わかるから、今のままでも、十分。 匠ね、私に、すごく優しくしてくれるのよ。 それに、ここ2年くらいは、特段、癇癪も起こさないし、前みたいに、極端に落ち込んだりもしなくなったわね。 最近は、彰君から振られる話も、すごく真剣に受け止めて、返してるし。」 「兄さんなりに、考えてくれてるのね…よかった。 彰もね、兄さんのこと、嫌いじゃないのよ。 ただ、ちょっと、行き違い、スレ違いが、多かっただけなの。」 「わかっているわよ、私も、匠も。」 ニコッと、わらって、千秋に返した香織が、ふっと、視線を移した時、あの薔薇が、目に入った。 「あら、綺麗な薔薇ね。」 「でしょう!それ、彰の温室の一番咲きなの。」 「彰君の温室?」 「ライブラリーの向こう側に、温室があるの。 元々は、彰のお母様の温室なんだけど、長い間、放りっぱなしにされてたから、修理して、彰が、薔薇を育てているのよ。」 「彰君が、薔薇ねぇ…。なんだか、イメージが湧かないなぁ。」 「私もね、彰が、花を育ててるイメージなんて、最初は、なかったわ。 だけど、彰って、結構、花のこと詳しいのよ。」 意外な彰の一面を知って、香織は、ビックリしていた。
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