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しばらくして、すっかり元気になった千秋は、温室へ行きたくて、うずうずしていた。
「ねぇ、まだ行っちゃダメなのぅ?」
「明日まで待てよ。」
「なんでぇ~?もう、だいぶ待ったよぅ。」
「明日、咲きそうなんだ、千秋に、一番見せたかったやつが。」
「…仕方ないなぁ…明日まで、待ってあげる。
その代わり…だめぇ?」
「『だめぇ?』って、何がだよ…ちゃんと言わないと、なんにも出ないからな。」
「意地悪ぅ…」
「その意地悪さんが、お気に入りなんだろ?」
「そうだけど…。」
「ほら、言えよ。」
わざと、焦らすんだから…わかってるのに…。
「待ってあげるから、キスして!」
「はい、よく言えました。じゃあ、遠慮なく。」
ふわっとしてるのに、濃厚な、癖になるようなキスを彰は、いつもする。だから、また、したくなる…。
何度もしてる内に、その先をしたくなる、そんなキス…。
他の人じゃダメなの。昔、愛したあの人でも、無理…。彰じゃないとダメな体になってる。
「どうした?」
「私、やっぱり、彰なしじゃ駄目なんだなぁって、自覚したの。」
「今頃か?」
「いいじゃない。いつ思ったって。」
「まあ、いつでもいいけどな…。」
「なぁに、その不服そうな顔は?」
「自分で考えろよ…。」
「ええっ…ねぇ、なんで?なんで?」
「知るか。」
「彰~ぁ、機嫌直して~ぇ。」
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