薔薇の約束・Ⅱ

13/21
前へ
/806ページ
次へ
「別に、怒ってるわけでも、拗ねてるわけでもねぇよ。」 「嘘…じゃあ、何で答えてくれないの?」 「今更、答えることでもないだろうが…。」 「ぶぅ~」 「おいおい、なんで千秋が、ぶうたれるんだ? 本当に、こういうときの千秋は、面倒臭いなぁ…わかったよ。俺が、悪かった。これで、許してくれよ。」 千秋を、そっと抱き締めて、思い切り優しい柔らかなキスをする。 「機嫌直せよ。」 「だって…彰が、悪いんだからね。」 「ああ、俺が、悪いな。」 もう一度、ぎゅっと、抱き締めてやると、千秋は、体を預けてきた。 「ベッド…」 「仕方ないなぁ…。よいしょっと。」 フワッと抱き上げて、ベッドまで運んでやると、思いっきり、首根っこを、引っ張られた。 「うわっ!!」 思い切り、のし掛かり体勢だ…。 「しよっ♪」 「千秋さん、今ですか?せめて、夜まで待てませんかね? 俺はね、別に構わないんですけどね…。 わが息子と身重の若奥さんが、ひとつ屋根で、いろいろ我慢してんですよ。 それ知ってて、真っ昼間から、いちゃつくなんてね…親としては、ちょっと考えもんでしょう。 だから、やりたいけど、やれませんよ。」 「正論過ぎる~ぅ。反論できなくなるでしょ。」 「反論しなくていいよ。はい、我慢。」 「我慢するから、お願い~ぃ!」 「これで、おしまいだからな。」 ものすごくディープなキスをひとつして、彰は、千秋を残して部屋を出ていった。
/806ページ

最初のコメントを投稿しよう!

379人が本棚に入れています
本棚に追加