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「彰…もう、寝たの?」
「ああ、寝た。」
「寝た人は、答えないよ…。」
「とにかく、なんといわれても、俺は、寝た。」
「…ぶぅ…今日の彰は、意地悪。」
「いつも、いつも、千秋の言うことばっかり聞いてられないよ。
それに、千秋は、なんで俺が、明日にこだわってんのか、まだ、わかってないだろう…。
わかんないなら、明日、薔薇を見せる意味ない。
答を見つけるまで、俺は、このまんまだからな。じゃあ、おやすみ。」
彰は、言うだけ言って、背中を向けてしまった。
明日でないと駄目な理由…私は、彰の背中を見つめながら、考え始めた。
なんだろう?
薔薇の花が、明日咲くから、温室は、明日って…それだけ?…違う、何かあるはず…何か…。
クルッと寝返りをした時に、サイドボードの上に乗せている小さな卓上型の万年カレンダーが、目に入った。
6月…あっ!!
明日って、最後の日曜日じゃない…。
私ったら、なんで、忘れていたんだろう…。
彰が、拗ねるはずだよ…私は、すごく大事なことを、忘れていたのだ。
明日は、私達の27回目の結婚記念日だった。
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