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5人で、食べる朝食は、すごく久しぶりだった。
たわいもない話で、盛り上がる。
当たり前の日常が、なんだか、輝いて見えるのは、今日が1年に1度の特別な記念日だからかもしれない。
「ねぇ、フレンチトースト、腕上がったでしょ、あの頃に比べたら。」
「そうだな。外は、カリッとしているのに、中は、しっとり、もっちりしてる。甘さも、加減してあるしな。95点かな。」
「後、5点は?」
「更なるアレンジをお願いします。期待を込めた、マイナス5点な。」
「ええっ~。そこは、期待を込めて、120点とかにするのよ、彰。」
「俺は、そんなに甘い顔しないんだ。」
明らかに、彰は、ふざけてるわ。
「あのお母様。これ、私が小さい頃、遊びに来ると、よく作ってくれましたよね。
この味、大好きです。
私にとっては、ある意味“おふくろの味”なんですよ。」
「ありがとう、陽菜ちゃん。そんな風に、言ってもらえて、嬉しいわ。」
「ねえ、彩ちゃんも、好きよね、このフレンチトースト。」
「うん、大好き♪
ママのフレンチトーストとパンケーキは、絶品だもん♪
あっ、パパのドリアも好きだよ。」
「付け足しか?俺は?」
「あははは!!…家は、すげぇ、平和だ!!
俺、ここの子供で、よかったって、言えるわ。」
光輝の大笑いが、ダイニングに、響き渡っていた。
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