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「彰、薔薇の約束は、守ってくれたんだから、次は、お庭の池を、素敵にしましょう。
まずは、あのベンチの辺りに、東屋を、作りましょうよ。
去年、ここの様子を見に来て、2階のテラスに初めて、足をつけた日、東屋でも作って、そこで、孫の子守りでもしようかって、そう言ったのよ、覚えてる?」
「言ったっけ?」
「無意識に言ったの!?」
「そうなのかな…。」
思わず、千秋は、体をグッと捻って、彰の顔を見た。
「間違いなく、言ったんだからね。私に。
だから、今度のお願いは、それよ。
生まれてくる、可愛い孫のために、東屋を、作って。それから、池に落ちたりしないように、柵も付けてね。」
「わかったよ。千秋のお願いを叶えるのが、俺の生き甲斐だからな。」
「生き甲斐なの?」
「そう、千秋が、俺の生き甲斐。」
私のこの先の人生は、きっと、今と変わらず、波乱万丈で、はらはらドキドキしっぱなしなんだろうな。
でも、彰が、隣にいる限り、私は、幸せの中にいられるに違いないんだわ。
「彰、キスしよ。そしてね、約束しようよ。
来年の記念日にも、また、この薔薇の前で、キスするって。
死ぬまで愛してるわ、彰。」
「今までで、一番の殺し文句だな、千秋。
俺も、死ぬまで愛してるよ。」
私達は、愛の籠ったくちづけをするために、唇を重ねた。
青い薔薇の見守る、この場所で。
私の望んだ、もう一度、戻りたかった、この場所で…。
〔fin〕
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