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「そうと決まった訳じゃない。大体、振袖でバイクはどうやっても無理だろ」
「は、確かにそうだね。車貸そうか?」
いや、いい、と星也は即答して自分のデスク前へ腰を下ろした。
「ところでさ、最近ヤってる?」
保志沢の突飛な質問に、答えは端的に溜息と共に返される。
「…してねぇな」
「星也もか。お互い辛い身だねぇ。俺、多分最後にしたのクリスマスなんだよね。
正月はあやの実家に帰ってたし、俺は風邪引いて寝てたし、明けたらこの通り仕事が山積みで残業だし。
昼間あやのがいた時はマジでヤバくてさ、休憩室で擦れ違った時は抑えるの必死だったよ」
「末期だな。けど事務所ではするなよ」
「んなコト分かってるって。あーでも、手が届く位置に姿が見えるだけに余計辛い…!」
顔を突っ伏しての保志沢の赤裸々な愚痴は、独り言のように机に吐き続けられる。
片や腕組みをする星也は、相変わらずのポーカーフェースだ。
「社内恋愛も案外楽じゃないね。
あれ、でも星也、年末年始は沙那ちゃんと一緒に過ごさなかったの?」
「過ごしたが」
「ケンカでもした?」
「いや、特別大きなのは無い」
「じゃあ早くもレス?」
怒涛の質問攻めに、星也の眉根がようやく寄せられる。
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