憤怒

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ピピッ モニターに新たな文字が 《次の扉を3:00内に開けよ》 文字が赤く点滅している 「とりあえずここを出よう」 黒瀬が出口へ向かう。 「君名前は?」 手塚が聞く。 「黒瀬です。あなたは?」 「手塚だ」 「私はリダだ」 左手を腰に当てながら言う。 「ぼくは草津」 怯える草津。 「坂下です」 緊張した面もちの坂下。 「伊中です」 見回すデブ。 「自己紹介タイム?美月よ」 「山平だ」 腕組む山平。 「プッ」 「何だよッ やんのかコラアッ」 「やんねえよバカ」 陣剋がせせら笑う。 「おれは名無しだ」 みんな霧谷を見る。 「霧谷…」 か細い声でそう言った。 「いいねぇ」 陣剋がイヤらしい眼差しを向ける。 「とにかく出ましょう」 黒瀬が扉へ向かう。 みんなで扉を開け(1人じゃビクともしなかった)、薄暗いコンクリート壁の通路に出た。 左は先が暗すぎてほとんど見えない。 右は30メートルくらい先の突き当たりに扉が見える。 他に扉は無い。 扉にローマ数字でⅠと何か鋭利なもので荒々しく刻まれていた。 「あっちだ」 沈と静まり返った通路に恐る恐る歩く黒瀬たちの足音だけが響く。
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