憤怒

8/13
前へ
/148ページ
次へ
手塚が進んで行く と すぐに背後に火柱が上がり姿が見えなくなった。 だが熱でぼやけて見える中、上手く行っているように見えた。 (よしよし) 心で黒瀬が必死に思う。 が、一瞬前に出るタイミングを誤り ボッ!! 「手塚さんッ!!」 悲鳴を上げる美月。 「ッつ」 前髪が焦げた手塚。瞬時に身を反らせ難を逃れた。 が、 動揺したことでタイミングが少しずつズレ、火が足の裾に火着した。 しかし手塚はそれでも大きな動揺は見せず、全神経を冷静に抑え、タイミングをすぐに戻す。 そして手塚は記憶した通りに規律を守り、無事向こう側に辿り着いた。 「ほっ」 黒瀬から安堵が漏れた。 「次はッ?」 振り向くとリダ。 顔は緊張にこわばっている。 鐘が鳴る。 リダが進む。 上手く進んで行く。黒瀬もタイミングの穴に気づき霧谷や皆に大声で教える。 「もう1回言ってくださいッ!!」 伊中が必死に頭に入れる。 「確かに…穴がある」 霧谷が言う。 「だろっ!!?焦らなければ簡単さこんなのっ!」 黒瀬が明るく言って不安を少しでも消そうとする。 リダも無事に着いたようだ。 鐘が鳴る。 「行くぜッ!!」 山平は自分に喝を入れ、進んで行く。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加