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「あいつが本当に魔王なのかよ……!」
誰かが悲痛そうにそんな事を言う。
「私は何時も貴方様の側に……」
誰かがひざまずいてそんな事を言う。
「俺は……本当の神になる!」
誰かが己の宝具を掲げそんな事を言う。
「私は貴方が好きだった……!」
誰かが泣きそうな声でそんな事を言う。
「己の強さに溺れたか、我が主よ!」
誰かが俺に武器を向けながらそんな事を言う。
「貴方は……私が倒す」
誰かが決意を宿した眼で俺を見てそんな事を言う。
「貴方は……私の大事な子よ……!ずっと……何時までも……!」
誰かが俺を抱き締め、泣きながらそんな事を言う。
「お願いだから、何処にも行かないで……ずっと私の側にいてよ……!」
誰かが俺にすがり付き、泣きながらそんな事を言う。
「我が好敵手よ……達者でな……」
誰かが満足げな笑みを浮かべてそんな事を言う。
「ッァ……さぁ……来いよ。一刻も早く……俺を殺しにな」
俺はただ、そんな事を呟く。
走馬灯の様に溢れ出た記憶、思い出を一つ一つ噛み締めながら、俺はそっと息を吐く。
――間違ってなんかいないと思う。俺の選択は。
――間違ってなんかいないと思う。俺の想いは。
――間違ってなんかいないと思う。俺の願いは。
どこかで間違えていた何て思えないし、思いもしない。
俺の選択は、誰かを傷付ける為に出た選択ではなく、俺の為――そして、皆の為の選択なんだから。
俺の想いは、きっと誰かが受け継いでくれるだろう。確かに俺じゃないのは悔しいし、嫌だが、皆の為なのだから。
俺の願いは、ただ皆が幸せでいる事。そこに俺が居ようが居まいが、俺の気持ち何て関係無く、皆が幸せであれば良いのだから。
その為だったら俺は、悪魔にでも神にでも――魔王にでもなろう。
――例えその選択で、俺が死んだとしても。
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