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「でも、俺は結構好きだよ?」
「そうですか」
今言った、俺の隣の席に座ってる彼。名前を長瀬(ながせ)悟(さとる)という。髪が栗色をしたワカメみたいな癖っ毛で、男にしては長い。
きりっとした瞳に、筋の通った鼻筋。厚すぎない唇に綺麗に整った輪郭。それなりに焼けた肌。それによって出来るルックスは、言いたかないが相当なイケメンだろう。
背も高く百八十を越えている。脚もスラリと長く、制服によって包まれてる体も細すぎない筋肉質だ。
「どうしましょうかねぇ」
そして呟いた俺。名前を一(はじめ)朱鳥(あすか)。
宵の闇を思わせる、男にしては長い肩に掛かる程の長さの髪。
何故かパープルの色をした瞳以外、特出した所のない至って平凡な顔立ち。身長も百七十五をちょっとだけ越える程度で、太ってはいないが細くもない中肉中背。
何でこんな面子と居るのか不思議な感じがするだろう。まぁ、特にというか最もたる理由が悟と幼馴染みだからだけど。それも幼稚園からのである。小中高と同じで、クラスも同じだった。これが女の子だったら……っと何度思った事だろう。
そして、真夜と美月ちゃん。実は二人と一緒に居る理由は、俺には無い。あるのは、寧ろ悟の方なのだ。実を言うと、二人は悟に恋をしている。いや、でも実際に聞いた訳でもないので、本当にそうかと言われると少し痛い。
いや、でも絶対にそうだ。悟と会う度に顔を赤らめるし、良く笑顔で居るし。それに楽しそうだし。
え?俺はって?ないない。こんな平凡な俺を、あんな美少女が好きになってくれる訳がないじゃないですか。朱鳥さんは夢を見ないのです。
「あのさ……さっきから思ってたんだけど、何で朱鳥は敬語な訳?」
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