3.左内よしか

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よしかは蓋が開いたままの小瓶を床に投げつけた。何だか異常にイライラする。…?イライラ?いや、違う。苛立ちとは違う何らかの感情が急激に沸き起こる。尋常ではない心拍数。心臓の音が、身体中を巡る血液の音が、自分でも信じられない位に感じ取れる。キーンという耳鳴りと共に激しい目眩に襲われる。 「どこだ!どこに行った?」 投げ捨てた3つの小瓶を探す。耳鳴りは一層激しさを増す。朦朧とする意識の中、部屋の角に小瓶が転がっているのを見つけた。すぐに中の錠剤を取り出そうとするが…無い。床に投げつけた瞬間どこかへ転がってしまったのだろう。 「がっ、はぁはぁはぁ…。」 呼吸もままならない。よしかはその空き瓶のそばに転がるもう一つの小瓶を見た。 「よし、ある!」 みつけるやいなや、専用水で一気に飲み干した。苦痛が瞬間快感へと変わる。と同時に激しい睡魔に襲われる。その直後ポケットに入れておいた携帯が非通知の着信を受ける。朦朧とした意識の中辛うじて応答する。 「は…い…。」 よしかの精一杯の応答に、相手は無機質な機械音で繰り返した。 『株式会社フリーダム製薬です。今からそちらへお伺い致します。株式会社フリーダム製薬です。今からそちらへお伺い致します。株式会社フリーダム…』 その瞬間俺の意識は完全に途切れた。
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