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山口カオル
「もう…もう限界だ…!」
カオルはうずくまったまま歯を食い縛り、強く握られた拳からは、自らの爪で付けられた傷口から血が滲んでいた。
遡る事6時間前。
「放課後1階のトイレに持って来い!」
今日の悪夢はここから始まった。先の見えない不安と怒りと恐怖で胃に穴が開きそうだった。精神的にも肉体的にも限界は近いと思った。
6時間後
カオルは重い足取りで校舎の一階の外れにあるトイレへと向かった。集合場所は大抵ここだ。第一校舎と第二校舎の境目にあるこのトイレは、何故か他のトイレに比べて利用する生徒が少ない。放課後となればほぼ皆無と言っていいくらいだ。それが、あいつ等の格好の溜まり場となった。
カオルは勇気を振り絞ってそのドアを開けた。が、その行為は即、相手の逆鱗に触れる事となった。
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