知らなかった想い

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告げる事だけは告げ一方的に電話を切ると、薄いカーディガンを羽織り隣りの蒼ちゃんの家まで急いだ。 階段を駆け下りたせいで息が上がったままインターフォンを押したけど、案の定蒼ちゃんは出てくれない。いつも門を開けてくれる酒井さんはとっくに帰った時間だし… だけどこんなのも想定の範囲内だから、激しく何度もインターフォンを連打するとやっと大きな門が空いた。 蒼ちゃんの気が変わらないうちに急いで門をくぐり玄関へ行くと、予想以上に不機嫌な蒼ちゃんが仁王立ちで待ち構えていた。 「お前、いい加減にしろよ。今何時だと思ってんだよ!!」 「……1時くらい?」 「時間を聞いてんじゃねぇ」 「えっ?そうなの?」 「こんな時間に迷惑だって言ってんの!」 「……だって…」 俯きながら小声で様子を窺う様に視線だけを向けると、蒼ちゃんは大きなため息を吐いて階段を登り始めた。
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