【 第1章 】 間が悪い、女の子からの告白

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幸運にも、月夜先輩は、僕のことに気づいていないに違いない。 何故なら、僕から月夜先輩の姿は丸見えだが、威光先輩から僕の姿は見えないような立ち位置だったから。 月夜先輩は、空手黒帯の猛者であり、中学校の先輩の中で、ボス的な存在だった。 自分がこのことを誰かに言ったら、月夜先輩に知られて、えらい目にあうんじゃないのだろうか? 不安が僕の脳裏をかすめる。 そもそも、月夜先輩が殺人犯と決まったわけじゃない。 ただ、僕の住んでいる下の階の部屋から、血まみれで出てきただけだ。 殺人犯かどうか決まっていないような時点で、先生や警察に言うべきではないように思う。 警察だって忙しいだろうに。 僕の勘違いで、ただ単に月夜先輩が赤色のペンキをつけまくっていた可能性も十分にありえる。 頭の中を、いろんな考えがかけめぐる。 誰かにこのことを言うべきか、言わないべきか・・・。
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