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E組の教室の前で、私はピタッと足を止めた。 閉ざされた扉の向こうから、小さな呻き声が聞こえる。 「?」 誰だかわからないけど、女性の声。 なんだか少し苦しそうな、何かに耐えているような、でも耳を澄まさないとわからないくらいの小さな声。 一瞬躊躇してから、私は急いで扉の取手に指をかけた。 ーー誰か怪我でもして動けないのかも……! 「だ、大丈夫で」 すか……っ!? 最後まで言い終わらずに、私はカチンとその場に固まった。 ……え……!? 途中まで開けた扉の向こうの光景。 それをすぐに理解するには、私には知識と経験値が足りなすぎて。 なに……!? なに……!? なにしてるの……!? 女の子1人じゃなかった。 教室の隅で、壁を背にした女子生徒に密着している男子生徒。 女の子の制服のシャツは捲りあげられ、服と肌の隙間に男の子の手が入り込んでいる。 短いスカートから覗く太ももがやたら艶かしく…… 「……!」 2人が濃厚なキスをしているのに気付いた瞬間、私の脳はやっと覚醒した。 う、嘘……っ!? あり得ない現場に突入してしまった。 生のラブシーン。 しかも2人は世界に入り込んでいるのか、私に気付かずさらにエスカレートしていく。 ど、どうしよう……!? とりあえず、知らないふりして扉閉めて逃げるしか……!!
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