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「あれっ、花菜!! あんただったの?」 「ーー!?」 教室内で私の常識を通り越したイチャつきぶりを発揮していたカップル。 その正体は…… 「真希と大地くん!?」 まさかの親友とその彼氏だった。 あ、有り得ない……。 真っ赤になって驚いていると、真希は飄々とした顔で笑った。 「ヤダー! 花菜ってば覗きー!! ふぅん、やっとそういうことに興味を……」 「わぁっ!! ち、違うからっ!! やめて、変なこと言わないでっ!!」 「なに恥ずかしがってるの? そんなだから花菜は……」 「もう、やめてったら!!」 横で啓大くんが聞いてるのに!! こういう話は今したくないっ!! チラッと真希の隣を見ると、大地くんまでニヤニヤしていた。 こ、このカップル、度胸だけは座ってる……。 ラブシーンを人に見られてなんでこんなに平気なの……!? ふと、真希のシャツの裾が未だに乱れているのに気付いて、私は慌てて啓大くんの服を掴んだ。 「け、啓大くん、帰ろ?」 「え?」 「今すぐ帰ろ? えっと、その」 なんだか頭がぐるぐるしてうまく働かない。 でも、早くこの場を去らなくちゃ! 「あの、えっと……そうっ、今日一緒に勉強したくて。 数学教えて欲しいなー、なんて」 「……」 訝しげな顔をする啓大くん。 「……あっ、き、急すぎるよね? お店の手伝い……」 「いーよ」 啓大くんはそう言って私の腰に手を回した。 「……!?」 「じゃ、俺ん家行こ」 「……!!」 シ、シマッタ…………!!!! そう思っても、もう遅い。 真希たちが後ろでひらひら手を振るのを見ながら、私と啓大くんは学校を後にした。
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