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ケーキを食べ始めると、部屋の中が静かになった。
チッチッと、啓大くんのベッド脇に置いてある小さな時計の音がやけに大きく感じる。
ソワソワして、どうしたらいいかわからなくなってきた。
……え、えっと……
いつも、何話してたっけ……?
啓大くんの前ではいつも緊張するけど、今日はそれにも増して緊張する。
だって、ケンカみたいな状態になっていたし。
その理由も、変な……理由でだし……。
チラッと見上げると、頬杖をついて私を見つめる啓大くんと目が合った。
「!」
「くち」
「……え!?」
「口、開いてるけど」
「…………!!」
ぎゃーーーっ!!
慌てて手で口元を隠すと、もれなくチーズケーキの欠片まで手についてきた。
はっ……恥ずかしい……!!
ボンッと赤面すると、啓大くんがクスッと笑った。
「バーカ」
「ひ、ひどい……っ」
でも、なんだかさっきの緊張がとれた気がする。
半泣きになりながらさらにケーキを頬張る私を、啓大くんはまだ笑いながらじっと見る。
この雰囲気なら……謝れるかもしれない……!
「……この間……ごめんね……」
「へ?」
小さな言葉に、啓大くんは首を傾げた。
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