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ガーゼを血だまりにあてて、その上から包帯を巻く。
何回もやったから、包帯を巻くのはだいぶ上手くなった。
サビを口ずさみながら、ティッシュでカッターナイフの血を拭う。
生きていたいと思えないこの世界で
俺が存在する意味なんてあるのだろうか
必要とされない俺なんて
どこで死のうと誰も気にしない
丁寧に丁寧に、血が残らないように拭っていく。
「疲れたな……、そろそろ始めようか」
僕は重い腰を上げて、さっきとは違うお気に入りのカッターナイフを持ちキッチンへ向かう。
そこそこ広いはずなのに、あまり広くないキッチンは、きっと物が多すぎるんだろう。
洗った後の食器類が置いてあるカゴから、包丁を2本持ち出した。
最後に、お風呂の浴槽にお湯を溜める。
これは何週間も前から決めていたこと。
たくさん考えた結果、誰もいない今日すると決めた。
お湯が溜まって、すべての準備が整った。
……覚悟を決めてカッターナイフを構える。
僕は、包帯の上から乱暴に腕を切りつけた。
何度も何度も切りつけて、包帯が真っ赤に染まるまで切りつけた。
左腕をたくさん切りつけて、血まみれにした。
次は、右腕。
カッターナイフを持ち替えて、今度は右腕を切りつける。
何度も何度も切りつけて、右腕も血まみれにする。
血まみれになった腕を、浴槽に入れて血が止まらないようにする。
お湯の中でも腕を切りつける。
カッターナイフと包丁を使って、肘のあたりまでビッシリと線を刻んでいく。
浴槽のお湯が、赤黒く濁る。
気持ち悪いと思いながらも、手は止めずにひたすら腕を切り続ける。
何分経ったか、何十分経ったか分からないが、浴室はむせかえるような血の匂いで満たされていた。
頭がふわふわする、今までのとは比べものにはならないくらい。
まるで、麻薬みたいに。
……そういえば春はまた学校でねなんて言ってたっけ。
僕はもう、学校に行くつもりはないんだけれど…。
まぁ、いいや。
そんな台詞、言った春本人だって覚えてないだろうから。
意識が朦朧としてきた……
僕、やっと死ねるんだ……
嬉しいなぁ……
そして僕は、意識を手放した。
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