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「ただいまー!」
時刻は15時を少し過ぎたところ。
この家の住人である、真美が学校から帰ってきた。
小学校4年生の女の子、背は少し高め。
いたって健康。
今日ももいつものように学校に行き、そして帰ってきた。
自室にいるはずの兄に会いに、2階へ向かう。
いつものようにノックをして声をかける。
「ただいまお兄ちゃん、帰ってきたよ」
……いつもならすぐに返事をするはずなのに、今日は返事が無い。
少し間をあけてもう一度声をかける。
「ただいまお兄ちゃん、帰ってきたよ」
……変わらず返事はない。
昼寝をしていて返事をしないことはたびたびあるが、その時は兄のいびきがかすかに聞こえるはずなんだけれど、それも聞こえない。
一応、開けるねと声をかけてからドアを開ける。
いつもなら机に座ってパソコンをいじっているはずの兄が、そこにはいなかった。
……どこにいるんだろう。
トイレだろうか、キッチンだろうか、それとも出かけてるのだろうか。
とりあえず、トイレから確認してみる。
……トイレにはいない。
次はキッチン。
……キッチンにもいない。
次は玄関。
……靴はある。
とりあえず、母親に電話して兄のことを聞いてみる。
電話をして聞いてみたが、母も知らないと言う。
なら、兄はどこにいるのだろう。
そういえば冷静になってみると少し変な臭いがしている気がする。
臭いがどこからするのか、家を見て回ることにした。
見て回った結果、お風呂場から臭っている。
かなり気持ち悪くなる臭い。
手で鼻と口の周りを覆いながら、お風呂場のドアを開けてみる。
……そこには兄がいた。
いつもなら笑顔で自分を迎えてくれるはずの兄が、今は表情のない顔でうなだれている。
状況が呑み込めない。
今朝はお湯が入っていなかったはずの浴槽にはお湯が並々と溜められていて、それは赤黒く濁っている。
臭いの原因はこれらしい。
よろよろしながら兄に近寄り、声をかけてみる。
「お兄ちゃん……?」
返事が無い。
お兄ちゃんは動かない。
……死んでる…………?
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
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