2話

3/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「今何時……?」 「21時35分」 ベッドで寝ていた子が聞いてきたから、牢の外にかけてある時計を見た。 私が答えると彼女が言う。 「今日の夜当番誰?  私は昨日だったから、私じゃないよ?」 ……、もうそんな時間だったのね。 22時からは夜の仕事の時間。 私たちが、人間として扱われなくなる時間。 夜のって言うくらいだから、もちろん朝と昼もある。 でも、1番大変なのは夜。 そして今日の夜当番は私。 「今日の夜は私。  朝と昼は誰が行ったっけ?」 「朝は私。」 「昼は私だったけど、やらなくていいって言われたから、すぐ戻ってきた。」 ……昼は無かったんだ、気付かなかった。 めんどくさいなと思ったとき、牢の扉が開いた。 「労働の時間だ、640番は前へ出ろ。」 そう言われ、私は看守の前にゆっくりと歩いて行く。 手錠をかけられ、そのまま労働部屋まで連れていかれる。 部屋には、大きなベッドが1つと、その横に何かが入った瓶が数本置いてある机が1つ。 中に入ると、ベッドの上に看守が2人座っていた。 両方男。 背中を強く押され、私が手錠をかけられたままベッドに倒れこむと、看守が私を叩いた。 「誰が倒れてもいいと言った。」 「すみません。」 蚊の鳴くような声で私が言うと、1人の看守が私に瓶に入った何かを飲ませた。 しばらくして、体が熱くなるのを感じた。 囚人服を脱がされ、日に焼けていない白い肌が露わになると、男たちの息が荒くなるのが分かる。 労働の時間、それは私たち囚人が看守の奴隷になる時間。 こうして今日も、私は看守の奴隷となり、性欲を処理するための道具になる……。 2話-END-
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!