2話

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「今何時……?」 「21時35分」 ベッドで寝ていた子が聞いてきたから、牢の外にかけてある時計を見た。 私が答えると彼女が言う。 「今日の夜当番誰?  私は昨日だったから、私じゃないよ?」 ……、もうそんな時間だったのね。 22時からは夜の仕事の時間。 私たちが、人間として扱われなくなる時間。 夜のって言うくらいだから、もちろん朝と昼もある。 でも、1番大変なのは夜。 そして今日の夜当番は私。 「今日の夜は私。  朝と昼は誰が行ったっけ?」 「朝は私。」 「昼は私だったけど、やらなくていいって言われたから、すぐ戻ってきた。」 ……昼は無かったんだ、気付かなかった。 めんどくさいなと思ったとき、牢の扉が開いた。 「労働の時間だ、640番は前へ出ろ。」 そう言われ、私は看守の前にゆっくりと歩いて行く。 手錠をかけられ、そのまま労働部屋まで連れていかれる。 部屋には、大きなベッドが1つと、その横に何かが入った瓶が数本置いてある机が1つ。 中に入ると、ベッドの上に看守が2人座っていた。 両方男。 背中を強く押され、私が手錠をかけられたままベッドに倒れこむと、看守が私を叩いた。 「誰が倒れてもいいと言った。」 「すみません。」 蚊の鳴くような声で私が言うと、1人の看守が私に瓶に入った何かを飲ませた。 しばらくして、体が熱くなるのを感じた。 囚人服を脱がされ、日に焼けていない白い肌が露わになると、男たちの息が荒くなるのが分かる。 労働の時間、それは私たち囚人が看守の奴隷になる時間。 こうして今日も、私は看守の奴隷となり、性欲を処理するための道具になる……。 2話-END-
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