3話

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あれから僕らは、よくしゃぼんだまをするようになった。 僕と違って、どこまでも高く飛んでいくしゃぼんだまが、羨ましかった。 でも、僕が飛ばすしゃぼんだまはいつも、どこか寂しげだったのも覚えている…。 大好きなゆうちゃん。 遠くに行っちゃったゆうちゃん。 僕のせいで、いなくなっちゃったゆうちゃん。 「はるちゃんっ」 「はーるーちゃん」 「…はるちゃん?」 やめて、僕を呼ばないで。 ごめんね……ゆうちゃん。 最後にゆうちゃんを見たのは、もう何年も前。 いつもみたいに遊んでいた僕たちは、あの日僕の提案で公園に出かけた。 そこで犬に出会ったんだ。 飼い主がリードを外して遊ばせていた犬。 その犬に近づいた僕は、…噛まれてしまった。 手をかまれてしまって血がたくさん出た。 それを見たゆうちゃんが、僕を助けようと近づいてきたんだ。 そしたら犬は、僕から離れてゆうちゃんの腕を噛んだ。 ゆうちゃんは、血が止まらない病気だった。 僕よりもたくさん血が出てた、地面が赤くなるくらいに。 犬の飼い主が救急車を呼んで、僕らは病院に運ばれたらしい。 僕は手術をして助かった。 でも。ゆうちゃんは……手術をしても助からなかった。 僕が公園に行こうなんて言ったから。 犬に近づいたから。 ゆうちゃんはいなくなっちゃったんだ。 だから、僕はもう外には行かない。 外には行けない。 あの時のショックで、僕は話せなくなってしまったし、足も動かなくなってしまった。 手は動くから、医者や家族とはメモ帳を使って話している。 僕の部屋の窓は庭に面していて、いつも並んで座ったベンチが良く見える。 時々、あの頃の僕たちがいるような気がしてならない。 その度に、僕とゆうちゃんのしゃぼんだまを思い出す。 ゆうちゃんと一緒に遊んだしゃぼんだま。 ゆうちゃんが好きだったしゃぼんだま。 何も忘れないように、僕は毎日しゃぼんだまをする。 あの時のしゃぼんだまは二度と見れないと分かっているけど。 それでも僕は、あのときと同じしゃぼんだまを待っている…。 3話-END-
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